心で向き合う優しさと尊厳のケア
〜映画『急に具合が悪くなる』が問いかける介護の未来〜
2026/07/31
みなさん、こんにちは!
先日、新聞の特集記事で「介護の技法 」と、それをテーマにした最新映画が紹介されていました。
その映画とは、濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる』。今年のカンヌ国際映画祭で主演のお二人がW最優秀女優賞を受賞し、世界的に大きな話題を呼んでいる日仏合作映画です。
今回は、この映画の核となっているケアの技法 と、作品が問いかける介護のあり方についてご紹介します!
■ 人を大切にするケア技法「ユマニチュード」とは?
映画の題材となったのは、1979年にフランスで開発された「ユマニチュード」というケア技法です。
開発したのはフランスの体育学教師。看護師の腰痛対策に取り組む中で、「ベッドに寝かされたままの認知症高齢者がとても多い」ことに気づいたことがきっかけでした。現在では、日本の病院や介護施設でも導入が進んでいます。
この技法では、「立つことは人間の尊厳に関わる」という考え方をベースに、次のようなアプローチを行います。
・目線を合わせて近づく(同じ高さで向き合う)
・やさしく声かけをする(これから何をするか語りかける)
・背中や肩に優しく触れる(「あなたを大切に思っています」というメッセージを伝える)
認知能力が低下していても、“心(精神)”には届く可能性がある——。その心を補完するようにコミュニケーションをとるのが基本です。
実際、動画サイトなどでは、介護を嫌がっていた認知症の方が、このアプローチによって穏やかになり、すぐに歩き出すような驚くべき場面を見ることもできます。
■ 「ケアする人の尊厳」を守るということ
ユマニチュードの核心は、「介護する人が相手をより大切に扱うことで、自分自身も傷つかずに済む」という、ケアをする側の尊厳を守ることにあります。
濱口監督は映画を通して、「介護業界の人手不足の根本には、ケアする人の尊厳が守られていない現状があるのではないか」という重要な問題提起をしています。
■ 映画『急に具合が悪くなる』の見どころ
作中では、ユマニチュードを施設に浸透させたい「施設長」と、日々の忙しさに追われる「現場スタッフ」との葛藤がリアルに描かれています。
理想と現実のギャップに悩む施設長と、がん闘病中の日本人女性演出家。言葉も背景も異なる二人が「死」に向き合いながら静かに会話を重ねていく姿が印象的です。
監督が「共同受賞こそが最もふさわしい」と語る通り、互いを高め合った二人の女優の演技は見ごたえ十分です。
📌 映画の詳しい情報や予告動画は下記よりご覧いただけます。
[映画『急に具合が悪くなる』公式サイト](https://www.bitters.co.jp/soudain/)
■ おわりに
効率や生産性、経済性が最優先されがちな現代社会において、「本当に大切にすべきケアとは何か」。映画の底流には、介護の世界を超えた現代社会への深い問いかけがあります。
介護に携わる方はもちろん、ご家族の介護をされている方にとっても、温かい気づきが得られる作品です。機会がありましたら、ぜひ劇場でご覧になってみてくださいね。
総務 N


